インタビュー2018-05-17
30歳以下の若者集団「WAKAZO」清元佑紀さんに聞く 若者が思う「僕らの万博」
2025年の大阪万博誘致に向けて、万博誘致に携わる方々へのインタビュー連載。第3回目は、大阪万博誘致に向けて積極的に活動を行っている若者集団「WAKAZO」に所属する清元佑紀さん。現在、大阪大学医学部医学科の6年生で、「WAKAZO」でも活発に活動する日々。さぞ忙しいのでは…?と思いきや、クラシックバレエの趣味を持ち、ヘビメタバンドのボーカルまで務めているのだそう。様々な顔を持つ清元さんに、若者ならではの万博に対する思いを伺いました。
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―まずは「WAKAZO」の始まりについて教えてください
僕は「若者の力でヘルスケアの課題を解決する」ことが目的の「inochi学生プロジェクト」という団体に所属しているのですが、その中で「今後関西はヘルスケアで盛り上がっていくんだろう」「では若者は何が提案できるんだろう」という問いが生まれて。
そこで、大阪府に対して「若者はこういう万博がしたい」と提出した提言書「2025大阪万博 若者の100の提言書」で、「万博基本構想検討会の平均年齢が62歳ということで、今後は若い人を入れていくべきだ」という提言が会場投票で1番にあり、若者である自分たちが万博の提案をしていく、という活動に「WAKAZO」という名前を付けたのが始まりです。
「『若』者が『造』る」から「WAKAZO」。30歳以下のメンバーで構成され、現在は20名のメンバーを中心に活動している。2016年に若者を中心に発案した万博への100個のアイディアをまとめた「2025大阪万博 若者の100の提言書」を提出したり、2017年11月大阪府に「会場に『WAKAZO館』を設置して、若者の考えや感性を世界に伝える場を設けてほしい」と提言するなど、大阪万博誘致に向けて積極的に活動している若者集団。
※大阪万博のアイディアを募るプラットフォーム「WAKAZO.ONLINE」
「inochi学生プロジェクト」は、大阪大学と京都大学の医学生を中心に集まっているのですが、2015年立ち上げの時は、3人とかの団体でそんなに大きくなくて。2017年に「WAKAZO」の活動が1つのプロジェクトに収まりだしてから、今では全体で約50人の団体になりました。今年度は彼(塩田さん)の求心力でさらに広まるだろうなあ、という感じです。
※インタビュー取材には一部のWAKAZOメンバーの方にもお越しいただきました。2人の笑顔が眩しいです。(左 塩田悠人さん 右 小野菜々子さん)
―私たちは1970年に開催された大阪万博を経験していない世代だと思うのですが、清元さんは万博にどのようなイメージをお持ちなのでしょう?
近年の万博は、全体的に綺麗なイメージです。それと同時に「本当に面白いのかな」という疑問があります。そういった疑問は、若者だからこそ投げかけられる。何も持っていないからこそ言えることだ、と思っています。「自分たちだったらもっと面白いものが作れる」そして、それを言うのであれば、「本当に作りたい」とセットで思います。今イメージしている以上のものにしたいです。
―これまで様々な活動をされてきたかと思うのですが、その中でも思い出深い活動を教えてください
1つ目は、はじめて僕たちが大阪府や自治体と絡んだ「2025大阪万博誘致 若者100の提言書」を作成・提出したことです。作成期間は1カ月くらいで、夜な夜なメンバーで集まって作成しました。
提出するのが13時くらいだったのですが、12時15分の段階でまだ印刷が出来ていなくて(笑)、松井知事がコメントし終わった瞬間に出来上がって渡すことができました。本当にギリギリまで納得のいくものを作ったというのは思い出深いですね。
提言書を作るうえでのディスカッションでは、「死刑をシミュレーションできて、本当の生と死に向き合うようなパビリオンを設置しても良いのでは」という哲学的なところであったり、「来場者から細胞を取って、新しいセルライブラリーを作るのはどうだ」であったり、テクノロジーを用いた新たな解釈のアイディアを募りました。もちろん賛否両論はありましたが、結果的に万博の公式資料の中に入れてもらって多くの大人の方々にも見ていただく運びになりました。
※大阪万博のアイディアを100個発案した「2025 大阪万博誘致若者100の提言書」
http://inochi-gakusei.com/forum/teigen.pdf
2つ目は、コンペティションです。当時は、世の中が万博をあまり認識していないタイミングで、「万博で未来を作ろう」と言っても、ついてきてくれる人って本当に30人に1人いたら良いという状況で。その中でコンバージョン高く、未来を作るということに共鳴してくれた人は、本当に自分にとってかけがえのない大切な人になりました。
WAKAZOが企画した、応募資格30歳以下の若者に向けたコンペティション。「建築」「パフォーマンス」「イラスト」「デジタルクリエイティブ」「映像」「スピーチ」6つの部門で大阪万博に関連するテーマを設けて行った。審査員にはそれぞれの分野で活躍している人を招き、各部門の入賞者には賞金総額30万円を贈呈した。
―2018年3月8日に大阪にBIEの視察団が来られた際に、WAKAZOさんもプレゼンされたと伺っております。視察団の方々には何をプレゼンしたのですか?
「これまで日本と世界の若者から若者の万博へのアイディアを集めました」「コンペを6つ開催してその中で優秀なクリエイティブの人たちと出会いました」「オンラインのプラットフォームを作りました」という3つの柱をプレゼンテーションで伝えました。
具体的には、関西でヘルスケアが盛り上がっている中で、高校生という若さで3Dプリンターを使って自動で動く服薬管理ロボットを作り始めていることであったり、コンペディション建築部門で優勝した方の模型を実際に展示して、そこに宿る「物と人の関係性の再定義」などの哲学的な話題であったり、全体的に熱気を持っているというところを伝えました。調査団の団長からも非常に熱気が伝わったと称賛していただきました。
―今後のWAKAZOさんの動きは?
「課題解決の波を世界に伝えていこう」ということで、世界展開していくWAKAZOの国際アンバサダーを、どんどん世界の中で増殖していきたい。そして、日本で開催する本当に意味のある万博をみんなで考えていくべきだと思っています。
価値のある問いや、価値のある答えを自分たちで考えていくのがWAKAZOの仕事だと思っているので、「まじそれ言う?」みたいなこともどんどん突っ込んでいけたらと思っています。
―30歳以下の若者で活動している「WAKAZO」さんですが、何かアクションを起こしたいと思っている若者たちにはどういったメッセージを送りたいですか?
僕は大学1年生の時にクラシックバレエを始めて、今も続けてて。「社会に対して何が出来るか」ということに気づいて面白いなと感じてこういう活動をしてきたので、アクションを起こすタイミングはいつでも良いと思います。無駄か、無駄じゃないか、とかはその人の考え次第。ただ、その中で「一緒にWAKAZOやろうよ」というのは伝えたいですね。
―最後に意気込みをお願いします
泣いても笑ってもあと半年。万博が来るか来ないかというのは置いといて、若者らしく、この活動自体の過程も楽しみながら結果を追求出来たら良いな、と思っています。自分たちで納得いくものを作ることができるほどの時間もあって、お金やリスクなどを度外視出来ることは、若者だからこそ出来る特権だと思うので、そこは大切にしたいです。
若者として思うのは、多様化して情報も沢山ある社会なので、自分のポジションをしっかり取ること、自分の場所を明確にして戦うことが大事だと思っています。中身の詰まってない、スカスカの、「骨粗鬆症」みたいな万博にはしたくないですね。
7年後、どれだけ自分が万博に提案できるポジションにいるかは分からないけど、うまい事関われるくらいに自分が大きくなっていけたら良いなと思います。